死と生。罪と罰。情と法。事情と正義。追われる者と追う者。そして、勝ちと負け……最後に勝つのは時効完成寸前の逃亡者か、刑事か。
警察官殺しの渡部美彌子。既に10年を逃げ続け、時効完成寸前。警察官6年生の原田貢。28歳巡査長、なりたて刑事。ふたりが最初に出会ったとき……美彌子は思った。勝ったと。もうじき自由の身になれると。その判断は正しかった。貢にはまだ、彼女を追い詰める力がなかった。まだ。けれど美彌子は誤った。人は成長できる。特に、刑事部屋へと叩き込まれた新任刑事は。指名手配犯対新任刑事、死闘の2か月。
著者のひとこと
「新任巡査」で新社会人を描きましたので、こちらではやや年長の、しかし中堅未満の若者を描いてみました。ただ、どんなポジションであっても、職業人生というのは挑戦の連続だと思います。小説がそれを応援できるなら、とても嬉しいです。
新潮文庫
- 発売日
- 2020.4.1