新任警視

勤め人なら、誰もが思いがけない人事を経験するが……警察キャリアが新任課長になる、それもまた劇的な通過儀礼だ。

1999年、夏。警察庁警部・司馬達は警視に昇任するとともに、異動を命ぜられた……命ぜられたポストは、愛予県警察本部警備部公安課長。縁も所縁もない県警察。70人弱の部下職員はすべて年上。初めての管理職そして指揮官の職。委ねられた任務は、秘密と国益と策謀とにいろどられた、かの公安警察……司馬は、そして司馬を迎える人々は何を思い、何を目指すのか? お仕事+成長+ミステリの新任シリーズがお送りする最大の巨編。


著者のひとこと

当然ですが、すべてがフィクションで、ゆえにどこまでもお伽噺です。昔々、あるところに……そう、ほんとうに昔々に思える。大嘘ばかりのこの作品は、私の大切な人々への鎮魂歌であり記念碑です。また、己の臓腑を「さらけだす」という意味では、デビュー作品に匹敵する私小説にもなりました。デビュー作品同様、はてしない嘘話ではあるのですが、そこに宿る「何か」が、私の作家的なはらわたです。

新潮社

発売日
2020.5.25