警察には、階級以外にも例えば職名がある。だから警察官は、階級を上げるとともに、より上位の職をも狙うことになる。そういった人事の仕組みは、部外には摩訶不思議なものだ。
警察唯一の財産は、ヒトである。ゆえに警察は、ヒトの育成と運用に躍起になる。ここで育成というのは、何も階級を上げさせることに限られない。というか実は、階級を上げさせることは、警察官育成のほんの一部に過ぎない。上位の職に登用すること、組織内ギルドに登用すること、あるいは管理部門に登用すること……警察官の「出世」は様々な要素の関数となり、よって一般社会には極めて「見えにくい」。本書では、係員レベルから役員レベルに至る、警察官の複雑な出世関数を、問答式で平易に解説する。また、交番・警察署・警察本部の「在り方」「具体例」を明快なビジュアルで示した、類例のない事典として活用可能。
著者のひとこと
類書『警察の階級』ではあえて触れなかった、階級以外の「出世」「人事」「上下関係」をはばひろく取りまとめました。両書が補完し合って、30万人組織の立体的な理解に資するとすれば嬉しいです。また本書各図や各ポンチ絵は、ありそうでなかった「組織の典型像」を具体的に/視覚的に描いたもので、お値段分以上の資料的価値が出るよう、配意していただきました。
光文社
- 発売日
- 2020.12.30