女警による犯罪を、女警らとともに女警が追う。そこに「女であること」の特異性はあるのか。あるべきなのか、あってはならないのか。
日本のどこにでもある、極めて一般的なA県警察。しかし「その夜」はまるで一般的な夜ではなかった。23歳の新人女警が、交番における直属の男性上官を射殺の上、そのままミニパトで逃走したのである。拳銃の不適正使用、そしてまさかの同族殺し。警察で生じるべからざる、最大級の警察不祥事。沸騰する県民世論……28歳の女性監察官室長が、平凡なA県警察を激震させたこの事件を追うとき、彼女はしかし、警察なる部分社会において「女であること」の希望と呪詛とをともに痛感するのだった。
著者のひとこと
親族も女性警察官ですが……差別されている様子は「全く」見受けられません。ただ、それでは小説になりませんね。といって、差別をでっち上げるのも小説としてはくだらんやり方です。あとまるで別論ですが、私の警察小説ゆえ当然、本格ミステリでもあります。
角川文庫
- 発売日
- 2021.12.15